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2023.05.15

futa

冊子のデザインで考慮すべき 「ノド」「小口」の余白とは。 目安は何ミリ?

冊子のデザインで考慮すべき「ノド」「小口」の余白とは。目安は何ミリ?

DTPでデザイナーが注意することはたくさんありますが、ポスター・チラシ・フライヤー等ペラいちの印刷物とは違い、ページ物(本・冊子)を作る際には、さらに製本に関する知識も必須になります。

特に余白の設定は、誤ると入稿時にトラブルになったり、出来上がっても読みにくさを感じる残念な本になってしまったりしますので、最初に行うべき重要項目になります。今回は、製本データ作成時にチェックしておくべき余白についてご紹介します。

 

「ノド」「小口」の余白の設定は、綴じ方とページ数によりけり

余白の設定は、どのような本を作るのかによってルールが変わってきます。特に「ノド」というところの余白(ノドアキ)については、製本の綴じ方と、冊子の総ページ数によっても取るべき余白サイズが異なるので、それぞれに合わせたデザインデータ作りが必要です。

ノド部分のレイアウトは意外と見落とされがちで、筆者が出版社にいた時も、外部デザイナーからのデータの確認をしていると、配慮されていない事がたまにありました。パソコン画面で見ているだけだと気づきにくいかもしれません。

 

本・冊子の「ノド」「小口」とは

「ノド」は本を開いた時の中心にある綴じ目部分、「小口(こぐち)」は本を開いた時の外側の事です。どちらも製本時の断裁や綴じ方、ページ数によって出来上がりの余白が異なってしまう部分です。

ちなみに開いた本の上辺部は「天」、下辺部は「地」と呼びます。

 

なぜノドの余白を考慮するのか

製本時にページのノド側は綴じられるので、ノドまでイラストや文字を掲載すると、ノド付近の原稿の一部は隠れて見えなくなってしまいます。その為、ノドアキを考慮した余白設計が必要になります。

↑ノド部分の余白に余裕を持たせていないと、綴じられた辺りが読みづらい仕上がりになってしまいます。

レイアウトソフトでパソコン画面を見る限りは、綴じ込み部分の事は結構気づきにくいです。また、これを踏まえて余白を適切に設定(小口側のアキよりノドの方のアキを広く取る)しておけば、本を開いた時の余白に統一感が生まれ、紙面の見栄えが良くなります。

綴じ方によって違う、ノドの余白設定

代表的な綴じ方である、無線綴じと中綴じについてご紹介します。

無線綴じ製本の最適な余白は?

無線綴じは、本の背を糊(接着剤)で固めて綴じる製本方法です。文庫本やコミックスのように背表紙があります。ノド側の紙同士が糊付けされているので見開きを180度開くことは出来ず、必ずノド側に見えないエリアが発生します。
ページが多く、分厚い冊子になるほど、文字や画像が埋まってしまい、端まで開きにくくなります(少年週刊漫画誌のような)。その為、ノド側に多く余白を作る必要があります。

小口に関しては、ページ量に左右されるような注意点はありません。一般的なアキがあれば大丈夫です。

ノドアキを多めに設け、文字や主要な画像はノドに近づけない

無線綴じはページ数が多い本に向いています。データ作成時、ノドアキとしてノドから15~20ミリ以上の余白を設けるのが一般的です。

また、前述した通り、総ページ数(本の厚み)によって開きづらい度合いが変わってくるので、ノド側の最適な余白は下記のように細分化されるということを知っておくと、よりスムーズに事が運びます。

ノド側の最適な余白の目安
  • 50ページ以下:ノドから最低10ミリ
  • 50ページ以上100ページ未満:ノドから15ミリ〜25ミリ
  • 100ページ以上:ノドから25ミリ前後

また、無線綴じでは、見開きでページをまたいで写真を掲載すると、ノド部分が大きく巻き込まれた感じになるので、できるだけ写真をはじめ文字・イラストは、ページごとに区切ってレイアウトするのが良いでしょう。ノドアキの細かい調整・工夫をすれば、見開きで綺麗なつながりを持たせることは可能です。ただやはり人の顔等が中央にあってまたがるのは避けた方が無難です。

中綴じ製本の最適な余白は?

中綴じは、印刷した用紙を重ねて中央から2つ折にし、折った部分を針金(ホッチキス)で綴る製本方法です( 背表紙は出来ません)。

中綴じで製本された冊子は、ページを奥まで開くことができます。絵本やカタログ、パンフレット等のページ数の少ない小冊子によく使われています(雑誌で言うと、女性週刊誌や「ヤング〇〇」のような青年漫画)。 中綴じの場合の本の厚さは、ホッチキスのサイズに依存するので、大体8~96ページまで(用紙の種類による。グラフィックHPより)と対応するページ数の限界が早く来ます。

180度ページが開けるのでノドアキは小さくてOK、文字や画像をノド近くにレイアウト可能

無線綴じとは逆に、ノドの部分もひらきやすい為、写真やイラストを見開きで使うレイアウトに向いている製本方法です。中綴じの製本データでは、ノド部分に10ミリ以上の余白があれば、綴じ部分が隠れません。

また、冊子の真ん中のページ(中央折り目にホッチキスの先端が出ている見開き)は、用紙1枚繋がって見開きになりノドのズレが無いので、写真集や絵本でページをまたいだ写真・イラストをきれいに掲載するのに、最適な場所です。

中間あたりのページの裁断幅広いので、小口の余白に配慮が必要

中綴じは、紙を重ねて折って製本する為、ページ数が多くなるほど、ページ数が真ん中に近ければ近いほど、小口を裁断する幅が広くなります。ページが多い中綴じ冊子の場合は、小口を広めに取っておかないと、中間あたりのページの小口のアキが狭かったり、ギリギリになってしまう可能性があるので、配慮が必要です。

制作の過程によっては、全部ノド!?

後からページごとに調整は面倒なので、先にビシッと決めたいノドと小口の余白設定。が、刊行誌の1ページ広告等は台割(ページ構成の設計表)に変更があった時の調整で掲載ページが移動することがあり、右ページ左ページどちらに印刷されるのかわからないまま入稿しなければならない事もあります。そういう場合は、左右どちらがノドになっても良いレイアウトにしておき、見にくさを回避しておくと良いです。(職業柄のせいか、1ページものの誌面広告って、見てるとたまに小口のアキがやけに広いな〜(または、ノドアキすごい狭いな〜)と感じる事があるのですが、こういった過程があったからだと勝手に推測をしています。)

 

余白についてだけでも、配慮すべきルールがたくさんありましたが、これらを制作時・入稿時には必ずチェックしましょう。

広告ページのデザインのような本のスポット的な仕事なら、用紙サイズの他にも綴じ方やページ数、掲載ページの左右がわかるかを依頼元に確認をするようにすると良いですね。印刷した際のトラブルを未然に防ぎ、出来上がりも満足のいくのもになります。

デザイナー、オペレーターはもちろん、自作で本・冊子を制作される方々も是非参考にして下さい!

以上、futaでした。